ウクライナ

【ウクライナ旅行記】イスタンブールからキエフへ 初日からトラブルに見舞われる東欧の旅

     バンコク滞在中に急遽ウクライナに行くことになった。バンコクからトルコのイスタンブールを経由して、ウクライナの首都キエフに向かう便で、乗り継ぎを含めて16時間ほど時間がかかる。

     飛行機は予定時刻通りにバンコクを発ったが、イスタンブールに到着したのは1時間ほど遅れていた。イスタンブールからキエフまでの乗り継ぎには2時間ほど余裕があり、1時間くらい遅れて到着しても問題ないだろうと気軽に考えていた。

     飛行機を降りた後に、国際線の乗り継ぎ場所を探していると、一際目立つ長い行列が連なっていた。「まさかこの長い行列じゃないよな?」と思い列に並んでいる人に尋ねてみると「国際線の乗り継ぎはこの列だよ。セキュリティーを抜けるのに並んでいるんだ。」

     セキュリティーを抜けるのに待っている人はざっと見ても150人くらいいる。あと1時間しかないのにセキュリティーを抜けれるのか不安になってきた。下手したら次の便に乗り遅れることになるだろう。考えていてもしかたがないので、列に並ぶことにした。

 列に並んで待っていても、なかなか前に進まず時間だけが刻一刻と流れていく。乗り継ぎの時間に余裕がある便を選んだつもりだったが、まさかこんな長い列に並ぶことになるとは思わなかった。あまりにも時間がかかっているせいか、次第に周りの人々が騒ぎ始めた。「次の飛行機に間に合わなかったらどうするんだ!」「なんでこんな長い列に並ばないといけないんだ!!」「飛行機乗り遅れたら誰が責任を取ってくれるんだ!!!」

     私は沈黙を貫き並んでいたが、内心かなり焦っていた。時刻を確認してみると、ボーディング時間まであと30分しかないことに気づいた。ゆっくりと前に進んでいるが、まだ私の前には100人近くの人が並んでいる。なによりも最悪だったのが、長い行列ができているのにもかかわらず、セキュリティーのゲートが全て稼働してなかったことだ。

     私の横で並んでいる男と話をすると、「次の乗り継ぎまで45分しかない。多分間に合わないと思う。」と冴えない表情を浮かべながら言った。「私はあと30分しかない。たぶん。いや、間違いなく飛行機に乗り遅れるはず。45分あればセキュリティー抜けれるんじゃないか?」と言ってみたものの、男の表情は相変わらず引きつったままだった。

     列に並んで待っていると、飛行機に乗り遅れた人々が鬼の形相をして非常口から出てくる。怒るのも無理はない。おそらくこのまま並んでいても、時間だけが過ぎていき、私も飛行機に乗り遅れることになるだろう。並んでいるのもばかばかしく思えてきたので、トルコ航空のカウンターで新たな飛行機の手続きをしに向かった。

     カウンターの前では、飛行機の乗り継ぎに間に合わなかった人たちが怒りを撒き散らしながら並んでいた。職員たちに向かって暴言を吐いている人や、おそらく不慣れな海外で飛行機に乗り遅れ、言葉もうまく通じず軽いパニック状態になっている人もいた。暴言を吐いている男は、ちょっと言い過ぎではないか?と思うほど強烈な言葉を撒き散らしていたが、その気持ちは痛いほどわかる。しかし、文句を言ったところで乗り遅れた飛行機に乗るのは不可能だ。

     15分くらい待っただろうか。ようやく私の番になった。「飛行機の乗り継ぎに間に合わなかった。」とぶっきら棒に言い、チケットを乱暴に渡した。職員はチケットを受け取ると、腕時計で時刻を確認した後に、予想だにしなかった言葉を言い放った。「まだ間に合います。」「は?」「まだ間に合います。」「は?無理でしょ。だってあと10分しかないし、なによりセキュリティー抜けるのに人が並んでいるじゃん!!」と早口でまくし立てた。「いいえ。あと15分あります。間に合いますよ。」「あと15分でセキュリティーチェックを抜けるのは無理。だってあんなに人が並んでいるじゃないか!!」と言った後に並んでいる人達の方を見ると、そこには誰もいなかった。

     乗り継ぎに失敗した人たちの話を夢中になって聞いていたせいか、全く気がつかなかった。「飛行機に乗らないなら、横のオフィスで手続きをしてください。」飛行機に乗らないならって、間に合うなら乗るに決まっているだろう。チケットを奪い取ると、走ってセキュリティーゲートに向かった。

     セキュリティーゲートの前には10人ほど並んでいたが、すぐにゲートを抜けることができた。なによりも不思議だったのが、わずか15分くらいの間に、どうやって100人ほど並んでいた人々がゲートを抜けたのだろうと思った。神隠しという言葉がふと浮かんだが、まさかイスタンブールでそんなことがあるはずないと思い止まった。

     セキュリティーゲートを抜けると、すぐに搭乗ゲートを探した。大きな電光掲示板を見ると、キエフ・ボーディングと表示されていた。幸いにもゲートは閉まってない。しかし、こんな時に限って搭乗ゲートは一番奥にある。全力で走れば間に合うだろうが、人の多い空港内をうまくかわしながら走ることができるだろうか。考えていても仕方ない。全速力で走り搭乗ゲートを目指した。途中、何度も息がキレかかったが、息切れしてる場合じゃないと奮い立たせた。

     搭乗ゲートになんとか辿り着くと、言葉が出ないほど息が上がっていた。カウンターの中にいる職員に無言でチケットを渡すと、「あなたが最後の一人です。外で待機しているバスに乗って飛行機まで向かってください。」と言った。

     セキュリティーゲートの長蛇の列に並んでいるときは、飛行機に乗り遅れることを覚悟していたが、無事にイスタンブールを発ちキエフに向かうことができた。

 

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