ポーランド

シェンゲン圏の入国審査は適当なのか?全5回の入国体験談

 2019年9月現在、シェンゲン協定に加盟している国は26カ国ある。私が2016年から始めた旅でシェンゲン圏に入国するのは、今回で5回目になる。エクアドル・グアヤキルからスペイン・マドリッド。中国・上海からドイツ・フランクフルト。メキシコ・カンクンからドイツ・フランクフルト。そしてトルコ・イスタンブールからギリシャ・アテネ。ウクライナ・リヴィウからバスでポーランド・クラクフに向かったのを除くと、全て飛行機で入国した。

 シェンゲン圏に入国するのは、国によって入国審査のやり方がばらばらである。例えばグアヤキルからマドリッドに向かったときは、「これでいいのか?」と思うほど適当な入国審査だった。いや、審査などしてくれなかったと言っても大袈裟ではない。パスポートを審査官に渡すと、今までシェンゲン圏に入国した履歴はあるか確認もせずに入国スタンプを押した。滞在日数を聞かれることもなく、マドリッドに来た目的すらも聞かれなかった。そして私が最も驚いたのは、マドリッドでの入国では審査官と目を合わせることは一度もなかった。

ドイツ・フランクフルトでの入国審査

 同じシェンゲン圏でもドイツ・フランクフルトでの入国は違った。これが先進国の入国審査だといわんばかりの威圧感。中国・上海からフランクフルトに向かったので、多くの中国人は入国審査を前に動揺を隠せずそわそわしている人が多かった。

 私の番になると、パスポートを入国審査官に手渡した。20代半ほどのいかにもエリート的な男はパスポートをペラペラとめくり、今まで訪れた国を確認しながら話しかけてきた。「ドイツ語と英語どっちがいい?」「英語でお願いします。」「フランクフルトに来た目的は?」「フランクフルトからキューバに向かうために来たました。」「ドイツにはどのくらい滞在する?」「3日間です。」「ホテルの予約はしている?それとキューバに向かう空港券も見せて欲しい。」私はホテルの予約確認メールと、フランクフルトからハバナに向かう飛行機のオンライン・チケットを見せた。

 審査官は私のスマートフォンをじっくりと眺めた後、文字が見やすいように拡大したりしながらじっくりとスクリーンを見ている。時間にして2分くらいだろうか。確認が済むと、パスポートに入国スタンプを押してくれた。

 同じ空港での入国であっても、審査官によって違いがある。メキシコ・カンクンからドイツ・フランクフルトに向かったときは、シェンゲン圏から出国するチケットを見せることもなく、ホテルの予約確認を見せることもなく、「ドイツにはどのくらい滞在するの?」「5日間です。」と答えただけで、入国スタンプを押してくれた。私は思わず「シェンゲン圏からの出国するチケット購入してきたんで見てください。」と話しかけてしまった。「え?わざわざ見せなくていいよ。」と言われてしまった

トルコ・イスタンブールからギリシャ・アテネへ

 アテネの入国は、どんな感じになるのか楽しみにしていた。ドイツのようにしっかりと入国審査をしてくれるのか、あるいはスペインのようにパスポートを渡しただけで、何も聞かれずに入国できるのか。

 2019年、欧州を巡る旅では、シェンゲン圏に滞在期間のぎりぎり85日ほど滞在する予定なので、シェンゲン圏を出国するチケットは用意していない。ギリシャに1週間ほど滞在した後は、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、ドイツ、チェコを周った後にイギリスに向かう予定である。イギリスに向かう正確な日付は決まっていないので、シェンゲン圏を出国する日が近づいてきたら飛行機のチケットを購入するつもりでいる。

 入国審査官にシェンゲン圏を出国するチケットがないと聞かれたら、ありのままを説明すればいいと思いながら向かった。欧州の旅をしていると、いろいろな国の人たちに出会うが、多くの観光客は1カ国ではなく複数の国を回ることが多い。例えばイタリアに来たなら、スペイン、フランスを周ったり、北欧ならフィンランド、スエーデン、デンマークやノルウェーを周るルートだったり。あるいはバルト3カ国エストニア、ラトビア、リトアニアを周ったり。

ギリシャ・アテネの入国審査

 入国審査はガラガラで誰も並んでいなかった。ギリシャのアテネといえば、ヨーロッパを代表する観光地の一つ。観光客が多く、入国するのに時間がかかりそうだと思っていたが、審査がスムースに終わればすぐにでも入国できそうな状況だ。

 私はほっそりとした穏やかそな若い審査官を見つけると、彼の元で入国審査を受けることにした。パスポートを審査官に手渡すと、国籍を確認した後にパスポートをめくり始めた。穏やかそうに見える20代半くらいの若い審査官だが、見た目とは打って変わりパスポートのページをめくる手つきが素早い。あっという間に全てのページをめくると、再び1ページ目からぺらぺらとめくり始めた。

 2018年、欧州の旅では、シェンゲン圏にあるポーランド、ドイツ、オーストリア、スロバキア、ハンガリーを85日ほどかけて周った。しかし、シェンゲン圏を出国してから、すでに180日以上は経過しているので再び90日間シェンゲン圏に滞在することができる。私のパスポートには、過去に滞在したシェンゲン圏のスタンプが10個ほどある。しかし、審査官はそんなスタンプには目を向けず、何か他のものを探しているように見える。

 ウクライナ・リヴィウからポーランド・クラクフに向かう途中の入国審査では、ポーランドの審査官はしっかりと過去の滞在日数を調べていた。だが、ギリシャの審査官は過去のシェンゲン圏の入国日数を調べる素振りを見せない。

 審査官の次の反応を待っていると、彼はパスポートにスタンプをガシャンと勢いよく押した。スペイン・マドリッド同様にギリシャに何をしに来たのか、どのくらい滞在するのかも聞かれることなく、パスポートを返却してくれた。

 受け取ったパスポートをバックの中にしまうと、私はゲートを抜けて何事もなくギリシャに入国することができた。ATMでユーロを引き出すと、空港に隣接している電車乗り場に向かった。

おわりに

 シェンゲン圏の入国。ある国ではきっちりと入国管理をしているが、入国審査のゆるいスペイン、ギリシャあたりから不法移民などが入り放題ではないかと思った。一度シェンゲン圏に入国してしまえば、入国審査を受けることなく26カ国を移動することができる。特にユーロ加盟国では人々の行き来が多いので、時間のかかる入国審査の作業を省けるのは効率的なのはわかる。非常に優れた協定のように思えるが、メリットとデメリットの多い協定でもあるなと思った。

 アテネ中心地に向かう電車に乗っていると、いよいよ欧州の旅が本格的に始まったような予感がした。

 

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