南アジア

レンタル自転車で巡る パシュパティナート寺院【ネパール一人旅】

  アンナプルナ・トレッキングから戻ってきた後は、何をするわけでもなくカトマンズでダラダラした生活を送っていた。カトマンズに来て1ヶ月半ほど過ぎた頃、気分転換にパシュパティナート寺院とボダナートに行ってみることにした。

カトマンズでレンタル自転車を借りる

 物価が安いネパールだが、カトマンズの「タメル地区」に限っては、観光客プライスで値段が高い。レンタル自転車の1日料金は一番安い自転車で1000ルピー(1ルピー1円)、グレードが高い自転車の料金は1500ルピー。

 以前、タメルから少し離れた場所でレンタル自転車の料金を聞いたときは、種類によって値段は変わるものの、1日600〜900ルピーだった。

 自転車じたいはそう変わらないものの、どこで借りるかによって値段に違いがある。しかし、タメルから離れた場所にあるレンタルショップまで借りに行くのが面倒だったので、結局タメル地区で自転車を借りることにした。

 パスポートを預けて1000ルピー支払うと、店のスタッフが注意事項を教えてくれた。「パタンやボダナートでは、自転車の窃盗が度々起こるから、人気のない所には駐車するな」

パシュパティナート寺院へ

 レンタルショップを出たのは午前10時。タメル地区を抜けて進んでいくと、すぐに車通りが多い通りに出た。空気が汚いと言われるネパールのカトマンズ。街を歩いていると、よくマスクをしている人を見かける。タメルにいるとあまり空気が悪いことを実感することはないが、車通りが多い道路に行くと、砂埃が舞っていたり、古いバスやトラックのマフラーから出る真っ黒い煙が出ているのを目撃する。

 そして大通りだというのに信号が無かったり、信号はあるものの信号のランプがついていなかったりするカトマンズ。首都だというのに信号機の代わりに警察が手信号を送っている。そんなのんびりした光景を進んで行くと、パシュパティナート寺院へ到着した。

 寺院に向かって歩いていると、派手なメイクを施しているサドゥーが目に入った。その中の一人が顔をニヤニヤさせながら「こっちへ来い!」と手招きしている。観光客が集まる寺院にいるのは、観光客から撮影料を取って生活をしているコスプレサドゥーが多いという。インドのバラナシでも、そんな話を耳にしたことがある。実際、ガードを歩いていると「◯◯ルピーで写真を撮ってくれ」とコスプレサドゥーから話しかけられたことがあった。

 宿のオーナーいわく「ネパールにいる90%のサドゥーは偽物だ。仕事したくないからサドゥーのかっこして観光地に行って観光客から撮影料もらっているんだよ。コスプレサドゥーはみんなインドから出稼ぎにカトマンズまで来ているんだよ。ネパール人はそんなことしないけどね」と教えてくれた。

 真相はわからないが、確かに観光客が多く集まるダルバール広場ではサドゥーの格好をした人をよく見かけた。観光客から見ると、あまりにも異質な雰囲気を放っているサドゥー。だが、観光客は本物か偽物かなど関係なく撮影を楽しんでいる。特に欧米人は嬉しそうにサドゥーの撮影をしており、撮影が終わるといくらかお金払っているのを何度も見たことがある。

 サドゥーのところに歩み寄ると、初老のサドゥーが英語で話しかけてきた。「あんたどこから来たんだ?」「カトマンズから」「違う。どこの国だ?」「あぁ。そういう意味か。日本から来てるんだけど・・・」「日本人か!俺たちの写真撮らないか?一人300ルピーでいいぞ!」「300ルピー?5人いるから1500ルピーになるね。そんな金額払いたくない。一人100ルピーだったら払ってもいいけど」「一人100ルピーでもいいよ」あっけなく値段交渉は成立した。

 明らかに撮影慣れしており、サドゥーの顔にレンズを近づけてみても怯む素振りを見せない。カメラを向けると、一人一人ポーズを撮ってくれた。サドゥーたちの写真を撮っていると、コスプレサドゥーでもいいような気がしてきた。本物のサドゥーか、偽物のサドゥーは関係ない。良い笑顔を見せてもらったので、それだけでも満足してしまった。

 本物か偽物かにこだわり過ぎているのかもしれない。そもそもタメルで売っているアウトドアウエアは、中国のコピーものばかりだ。しかし、観光客は偽物か本物かなんて気にする素振りも見せずにあたりまえのようにフェイクブランドを着ている。

パシュパティナート寺院

 ヒンドゥー教の寺院だけあって、川沿いで遺体を焼いているところだった。インドのバラナシでも見たことがあったので、とくに衝撃を受けることはなかった。日本でも遺体は火葬場で焼かれるし、人目につく公共の場所か、施設の中で焼かれるかの違い。人が多くいる公共の場所で遺体が焼かれるのは、家族や友人などに見守られながら焼かれていくので、ある人にとっては幸せな火葬の方法なのかもしれない。桶に入り人目につかない火葬場で焼かれていくのは、最後の最後まで孤独だなと思った。

おわりに

 一通り寺院を歩いた後は、展望台に向かうことにした。木陰では観光客がベンチに座ってぼんやりと景色を見入っている。私の前にいた中年の女性も寺院の景色をぼんやりと眺めていた。

 パシュパティナート寺院を出ると、次の目的地「ボダナート」に向けて自転車を走らせた。

レンタル自転車で巡るボダナート・ストゥーパ【ネパール一人旅】

 

 

 

 

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