インド

【インド一人旅】バラナシからブッタガヤへ インドの電車移動はトラブルが多い

  電車がバラナシ駅に着いたのは21時を過ぎていた。到着予定時刻は16時20分だったが、いつも通り数時間待つことになった。宿を出る前にインド列車のアプリを開いて到着時刻を確認したが、時間通りにバラナシ駅に到着すると表示されていた。

  駅に着きチケット売り場の上に設置されている電光掲示板を見みると、私の乗るガヤ行きの電車が大幅に遅れていた。16時20分に到着予定が、19時到着と表示されている。アプリの到着予定時刻を信じて行った私が愚か者であった。

  時間を持て余していたので、外国人用の待合室兼チケットオフィスで待つことにした。中に入りチケットを購入できるカウンターを抜けると、大きな待合室になっている。合成皮の3人掛けソファーがいくつも並び、近くには充電をできるコンセントがある。室内はやんわりと冷房が効いており、綺麗なトイレを無料で使えるので、数時間ならイライラせずにくつろげそうな環境が整っている。

  時間潰しにタバコを吸いに外に出ると、35度の猛暑の中、地べたに座って電車が到着するのを気長に待っているインド人が大勢いた。さすがに13億人の人口を抱えている国だけあって、1組10〜15人くらいの家族あるいは親族が固まって座っていたり、ゴザを引いて寝そべっている大所帯が目につく。

  彼らを見ていると、インドは理不尽な国だと思えてくる。外国人観光客は冷房の効いた立派な待合室で電車の到着を待っているが、インド人たちは炎天下の中でいつ来るかわからない電車を待っている。インドに来て3週間。インドの日常が見たくて日々散歩をしているが、この国で生きていくのは想像以上に過酷なんだろうと思った。  

  待合室に戻る途中に電光掲示板に目を向けると、19時到着予定が19時30分になっていた。ただ待ちぼうけているのも退屈になってきたので、駅内にあるローカル食堂で食事をとることにした。

     正確な値段は覚えてないが、駅にあるローカル食堂なだけあって価格は激安(100円〜150円)だった。バラナシ滞在中によく通っていた観光客用レストランの3分1くらいの価格だったと思う。

  味は美味しい不味い以前に、私には辛過ぎた。半分ほど食べ終わった頃には額から汗が流れてくる。舌は軽い麻痺を起こし、何を食べているのかわからなくなり味覚を失う。見た目は辛そうに見えないので食べてみたが、あまりの辛さにしばらく舌の痺れが続いていた。食後にタバコを吸うと、メンソールを吸っているように感じたぐらいだ。夕食を食べた後、再び電光掲示板を確認しに行くと、19時30分到着予定が20時30分に変わっていた。

    1時間程時間を潰したあとに時刻を確認しに行くと、21時という時間が表示されていた。その数字を見て思わずため息がこぼれる。本来なら21時にはガヤ駅に着いている時間だ。しかし、電車は延々と遅れ続け、いまだにバラナシ駅から移動できずにいる。

  暇つぶしにネットでインド鉄道はどのくらい遅れるのか調べてみると、13時間遅れという便が目に止まった。電車が半日以上も遅れる。遅れるというよりもキャンセルにならずに、呑気に運行しているのが不思議だった。13時間遅れて到着しても多くの人は困るだろうし、なにより13時間も待っている人がいるとは思えない。

     残念なことに予約で購入したチケットは払い戻しできないと書いてある。

  電車は21時30分にやってきた。20分くらい停車したあとに、ようやく動き出した。電車に乗って1時間もすると、安堵と疲労で眠気が襲ってきた。3等列車の席の上に寝っ転がっていると、強烈な眠気が10分に1度はやってきた。しかし、いつガヤに着くかわからず乗り過ごすのが嫌だったので景色を見たりして気を紛らわせて起きていた。

      バラナシから4つ目くらい先の駅に着くと、プラットホームで寝ている人が何組かいた。電車が来なかったのだろうか。あるいは寝ている間に電車が通りすぎてしまったのかもしれない。  ガヤ駅に着いたのは深夜3時を回っていた。駅の外に出ようと向かっていると、こんな時間にもかかわらず「ブッタガヤまで行くんだろ?400ルピーで行ってやる」と呼び込みが次々に声をかけてきた。深夜料金で値段が上がっているのだろうか。ガヤからブッタガヤまで約10キロ。400ルピーはあまりにも高すぎる。

  駅を出ると、予想に反してたくさんのオートリキシャが止まっていた。パッと見て50台近くは止まっており、昼間とたいして変わらないような気がする。深夜3時という時間にもかかわらず、声を張り上げたくましく客引きをしている姿が勇ましい。いったいこの国の人々はいつ寝てるのか不思議に思えてくる。

     人の良さそうな男にブッタガヤまでの値段を尋ねてみると、300ルピーと言ったので断った。

  駅の外れの方まで歩いて行くと、暇そうにオートリキシャのシートに腰をかけている物静かな男に声をかけた。値段を尋ねてみると、200ルピーで行ってくれると言ったので、値段交渉はせずに言い値で乗ることにした。駅のプラットホームで声をかけられた呼び込みの半額。約10キロの移動距離に深夜価格ということを考えれば安い値段である。

  結局ブッタガヤの宿に着いたのは、4時近くになろうとしていた。本来21時には着いている予定だったが、あくまで到着予定時刻。到着さえすれば、何時に着こうがどうでもよくなってくる。

     あらかじめ宿には「バラナシからブッタガヤまで電車で行くから、何時に着くかわからないけどチェックインできますか?」と確認のメールを送っていた。宿の人は「何時に着いてもチェックインできます」と事情を察した返信をくれた。

  インド鉄道で移動すると予定を組むのが難しい。バラナシからガヤまでバスで移動する方法もあった。それでも電車を選んだのは、たとえ電車が遅れてきても、言葉には言い表せない魅力が電車旅にはあるからだ。

 

 

 

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